『ポスト・オフィス』と新訳『郵便局』(チャールズ・ブコウスキー)
チャールズ・ブコウスキーの『POST OFFICE』に新訳版が出ていることに気づき驚く。坂口緑訳の1995年版のハードカバーは所有しているため、その新版・都甲幸治訳の『郵便局』を借りてきて読む。比べてみると、ほぼ一言一句、言葉を換えている印象だ。既訳を見ながら、重ならないように類義語に全部置き換えてるがごとくだ。既訳本の新訳版を読むのは恐らく初めてだが、そのようにしなくてはいけないルールがあるのだろうか。
文体はブコウスキーっぽく自然だ。書籍は物としてなるべく所有したくないので、最後まで違和感なく読み終わればハードカバーは処分して新訳の電子書籍版を購入しようかと考えていたが、ここまで訳が違うと少しちゅうちょする。
またブコウスキーというと『勝手に生きろ!』を思い出す。太平洋戦争中の時代背景のアメリカ国内を舞台にした物語だが、全く戦争臭やその暗さを感じないところが印象深かった。片や日本のそれらは悲惨を売りにするしかないが、やはりそれだけの国力の違いがあったのであろう。戦争はきっと「負け戦」が悲惨なのである。
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