2ちゃんねるのサーバーダウンとF5キー

某世界最大匿名掲示板2ちゃんねるが3月1日午後から某隣国からのサイバー攻撃によるサーバーダウンにより、ほぼ全面的にアクセス不可となっているようです。「2ちゃんねるアクセス不能 韓国から大規模サイバー攻撃?」(J-CASTニュース)によると

「攻撃は、ウイルスプログラムを使って行え。プログラムに不慣れなのであれば、F5キーを押してトラフィックを誘発しろ」

という手引きにより、多数からの一斉アクセスがなされているようです。

ここに出てくる「F5キーを押して」という意味ですが、これは文字どおり「キーボードのF5キーを押せ」ということです。[F5]キーの効果とは、現在見ているウィンドウを最新の情報に更新することです。つまり、2ちゃんねるをブラウザで閲覧しながら[F5]キーを可能な限り連打し、見ているページを更新しろ、ということを意味しています。

これがどうして2ちゃんねる閲覧不可状態を呼び起こすのか。ふだん、インターネットでいろんなウェブページを閲覧します。これはウェブサーバーというところにある該当ページを自分が今使っているパソコン等に「ダウンロード」して見ているのです。「ダウンロード」は動画やオンラインソフトなどの保存時だけではなく、普通のウェブページも自分のパソコン等にダウンロードしています。ウェブページ1ページはそんなにサイズが大きくなく、体感的にはほぼ一瞬でダウンロードできるため、いわゆるダウンロードをしているという感覚にならないだけで、原理は動画などと一緒なのです。そうやってダウンロードし、ローカルに保存・複製したウェブページを見ているのです。

もしその閲覧中と同時にサイト管理者がページを更新したとしても、あなたは自分のパソコンにダウンロードした「古い」ページを見ています。あなたがページを開いた(ダウンロードした)直後にそのサイトの管理者が該当ページを更新していた場合、[F5]キーを押せば、更新したページがダウンロードされ、最新のものが見られるという寸法です。

で、このページの更新なのですが、ウェブサーバーはこの更新要求を無限には処理できません。「データ転送量」という枠がサーバーにより決められていて、この量をオーバーすると、いわゆるサーバーダウンになります。[F5]キーを押してページを更新する、つまりページの最新情報を「転送せよ」とサーバーにリクエストしているのです。この転送量は時間当たりで割り振られるので、同時に更新=転送リクエストが集中すると、転送処理が追いつかなくなり、サーバー停止→ページの閲覧不可という状態になります。電話が一斉に鳴り電話回線パンク、というのに似ているかもしれません。

ウェブサイトは自然に見られていればアクセスの集中によるサーバーダウンはめったにありません。想定したアクセス量=転送量に見合った能力のウェブサーバーをサイト運営者は使用しています。コンテンツが大きくなったり、人気が出てきて平均アクセス数が増加したりした場合、より大きな能力を持つウェブサーバーへヤドカリのように引っ越ししていきます。ですが、今回の2ちゃんねるのように意図的に集中してアクセスを(人力の[F5]キー連打だけなら大丈夫でしょうが、[F5]キーを連打する効果と同様の自動プログラムも利用しているようです)されると、想定外の転送処理をリクエストされ、許容値をオーバーしてサーバーダウンしてしまうことがあるのです。

これは悪意がなくとも起き得る現象です。例えばふだんはほとんど閲覧されないこぢんまりしたお店のウェブサイトが、ある日テレビなどに紹介されると、その瞬間、一斉にテレビを見ていた人がそのお店のサイトにアクセスし、サーバーダウンなどということもあります。

以上、2ちゃんねるの事件のメカニズムの、パソコン初心者の方への大まかな説明でした。まる。
※復活したら教えてください。

ちなみに[F5]キーはブラウジング以外にも利用できます。例えばパソコンで今見ているフォルダの中身を最新の状態にするときなどにも[F5]キーが使えます。これはパソコン内の情報のやりとりなのでパソコンがハングアップすることはまずないでしょう。ただ、ネットワーク内の外部ドライブなど、多くの人がアクセスする場所でむやみに[F5]キーを連打すると、同じドライブを利用している人の処理が遅くなったりなどして迷惑する可能性はありますのでちょっと注意が必要です。