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【文字起こし:整文編】孫正義2011年4月22日Ustream生放送記者会見前プレゼン

「改めて再認識せよ」孫正義プレゼンテーション

 Ustreamにてネット生放送された2011年4月22日自由報道協会主催 孫 正義 記者会見前のプレゼン部分の文字起こし整文バージョンです。ケバ取りバージョンからさらに下記修正等を行っていますが、孫正義氏はスピーチがうまいので、あんまりかわりばえしませんね。
逐語反訳バージョンはこちら

 元発言を最大限に生かしつつ、てにをはの修正・補完、無意味な倒置の修正、言いさしの補完、くどい繰り返し表現の削除、「い抜き」「ら抜き」過剰敬語等の適宜修正、文章の簡潔化、文体的に不自然な口語表現(文語表現)の修正、明らかに読みにくい隣接した文章順序の入れかえなどを行います。明らかな事実誤認があれば修正したり、代替語を挿入したりします。
 事実誤認等の修正判断は難しいところです。単純なケバ取りと整文の厳密な違いはないのですが、その起こし案件が証拠性重視(発話記録型)なのか、記録性重視(発言内容記録型)なのかによります。その2つも厳密には区別ができないので、長年の経験や依頼者の原稿最終用途・媒体により、柔軟に起こし方をアレンジします。

 下記文字起こしの途中の会場記者とのやりとりや事務局側とのやりとりは、忠実に起こす必要はない箇所かもしれませんが、依頼者から事前に指示がない限り、「発言はすべて」通常は起こします。要約指示がある場合は、カットします。
 やりとりの内容も入れつつ発言者立てをせずに起こす場合や、あるいはセンテンスごとに話が飛び飛びになっているようなものをテーマごとにまとめたりするのは完全にリライト作業になるので、テープ起こしとは別途作業となります。

○孫 今は国難のときです。本当にまず、私も福島に行ってまいりましたけれども、被災者の皆さん(を見て)、言葉にあらわせないような、胸を締めつけられるような思いに駆られました。まだまだこれから長期戦になる。しかも、いつ何があってもおかしくないというような危機的な状況が続いている。そういう中でございますので、私がきょう発言する内容、あるいは皆さんから質問を受けてお答えする内容が、その多くの被災者の皆さん、あるいは国民の皆さんにとって、逆に風評被害だとか、あるいは心理的につらい思いが増してしまうということが、もしかしたらあるかもしれないことを大変危惧しておりますけれども、どちらにしろ、今のこの福島の原発の状態というのは、津波によって被害を受けられた方々の悲劇・悲しみとはまた別の悲劇・悲しみだろうと(思います)。両方とも、どちらがよりつらいということではありません。両方とも大変な苦しみ、悲しみでございます。しかし福島は、さらにこれが、より悪化してしまうかもしれないという意味で、まさに現在進行形の問題であろうと思っております。

 この福島の原発状況が仮に無事におさまったとしても、日本には50数カ所の原発がいまだにある。この原発問題は、日本だけではなくて全世界に今、影響を与える、人類にとってのチャレンジだと、試練だと私は受けとめております。ですからそういう意味で、この問題は、原発は怖い、しかし原発は必要なのか、それとも原発はとめるべきなのかとめられるのかと。その事故の問題だけではなくて、今この現在も世界じゅうで稼働している原発に対して、どう我々は考えを持っていけばいいのかということを、私はこの1カ月間、本当に真剣に、一市民として悩みました。考えました。

 もちろん、私どもの会社は、携帯電話・インターネットといった情報関連の事業が本業でございますので、私どものユーザーの多くの皆さんから震災問題や原発問題に対して何か口を挟む暇があったらさっさと本業の携帯電話を早くつなげとかいうご批判をいただいているのも重々承知しております。ですから、私どもの本業の携帯電話の電波が、一日でも早く、一人でも多くつながるように、日夜、エンジニアを中心に頑張っておりますし、私も先頭になって一生懸命やっております。津波・地震の直後、そして大きな停電の直後は、携帯のネットワークもかなりやられました。しかしおかげさまで、きょう現在では、東北、関東における携帯の基地局は、99%のところまで、一応ネットワークが回復して、何とか我々の責務を少しでも果たせる状況になってきました。

 きょうは携帯のことや私どもの本業のインターネットのことがテーマではなくて、少し本業からはそれますけれども、一人の人間として、日本国民として、今、日本国民の一番の心配事、一番の問題事であると私が認識しているこの原発問題に対して、どういう建設的な解決策があり得るのか、私なりの私見をまとめましたので、皆さんに少しご披露させていただきたいと思っております。単に原発政策や原発問題について非難をするのではなく、どういう現実的なエネルギー政策の転換や建設的な解決策があり得るのかを考えまして、そのことについての私見を述べさせていただきたいと思います。

 私はツイッターを毎日のように活用しております。きのう、このツイッターで原発賛成か反対かということを一般の多くの人々が国民的投票を行いました。これは私がつくったサイトではありません。第三者の方がつくられたものです。それに対して8500人の人が、原発を縮小あるいは全廃という意見を持っておられることが、投票の結果、アンケートの結果が出ております。約4%、400人の方々が現状の原発を維持、あるいは原発をさらに推進という意見を持っておられました。96対4。これが恐らく今現在の国民の多くの人々の意見を反映させているのではないかと思いました。きのう、私はこれを認識して、私自身もきょうの昼間に投票しましたけれども、こういう数字も一つの参考として出ております。

 ところで原発問題ですが、ほんの1カ月前まで、私は原発について、賛成論者でもなくて反対論者でもなかった。つまり意見がなかった。余り考えなかった。電気はあって当たり前だと感じていました。その中に原発があるということは認識しておりましたけれども、それがどれぐらい安全に、あるいは危険な状態で運営されてるのかということは全く、意識の外でありました。これはもう、恥ずかしい話ですけれども、そういう認識でありました。しかしこの1カ月間、本当に、自分なりに悩んで、考え込んで、いろんな思いをめぐらし、必死で勉強してみました。

 東京電力が、福島第一原発1号機についてという、これは先ほど気づいた新聞記事ですが、去年の新聞記事です。1年前の新聞記事で、皆さんはご存じだったかどうかは知りません。去年の3月、運転を開始して40年がたったと。40年が経過したので、それをさらに継続して運転するべきかどうかということについて審議がなされて、その状況から20年間、追加して運転できるという技術評価書を得て、今後10年間の保守管理方針を原子力安全保安院に提出した。こういう記事が、ちょうど1年前に出ていることをきょう認識しました。東電は、大部分の機器・建造物は現在の保全活動を継続することで、40年以降も健全に維持できると結論を出したということで申請をし、安全保安院に認められ、受理された。そして、そのまま運営、運転がなされた結果が、皆さんご存じのとおり、大事故につながったと。こういうプロセスを経ているわけです。

 もし去年のその時点で、まあ40年たったからしばらく運転を見合わせたらどうかと、厳密な審査がなされて運転がとまっていたら、今日の事故はなかったということです。この記事やこの審査の事実をどれほどの国民が認識していたのか。そして、一体全体その安全保安院、あるいは安全委員会、あるいは経産省の皆さん、東電の皆さんが、どれほどの厳密な審査を行ってやったのか。もちろん彼らは今回のような津波・地震は想定外だったというふうに話されると思います。それにしても私がつたない知識でこの間学んだところによると、原発の圧力容器、圧力容器というのは、ついこの間まで私もその単語を知らなかったのですが、今や日本国民(全員)、小学生ですら知っている単語になってしまいました。この内側の圧力容器は40年間中性子を打ち続けられると、圧力容器そのものがかなりもろくなると。したがって、大きな地震、あるいは停電によって異常な熱、気圧が発生すると、圧力容器そのものが壊れるリスクが著しく高まるということであります。つまり、そもそも40年を経過して使うべきではないことを今回大きく認識したわけでございます。原発は30年を超えたら、毎回、10年単位の許認可というか、審査を得ることになっているということであります。日本の法令で原発の運営、運転に対することが、定められ、義務づけられている。

 今、日本の原発は54カ所ですか、あるわけですけれども、これらのうち、そもそも30年を超えているものがどことどこなのかを我々は厳密にチェックする。そして30年を過ぎるたびに、その原発が本当に安全なのか、本当にその原発が地震発生確率が異常に高まった地域の上にありはしないか、あるいはその原発が、ひび割れや配管の異常、弁の異常が、この間、見つかってなかったのかということを、もう一度厳密に安全運転監査をするべき時期が来たのではないか。こういう手順を踏んで、我々国民は、その原発を本当に安全運転されているかどうか、される状況にあるかということを、審査できる手順があるのだということを、改めて認識するべきだと思います。

 ちなみに原発は世界じゅうで廃炉になっております。一体何年目でその原発の運転をやめ、廃炉しているかというのがこのデータです。平均が22年。先ほど、30年で1回の審査ということを申し上げましたけれども、実際の世界の平均値では、22年平均で原発は廃炉になっている。(稼働を)とめているということです。40年を超えてなおかつ運転し続けている原発というのは、世界でもまれなケースということです。30年たつと、一回その原発を継続運転すべきかどうかを審査するというルールが日本の法令上にある。そこをパスすると10年延長されるそうですけれども、何でパスすると10年延長されるんだと。もうちょっと短い期間でいいんじゃないか。そもそも寿命が来てるんじゃないかという警鐘を私はもう一回鳴らすべきだと(思います)。今回のような事故が起きたために、そう思うわけでございます。どちらにしろ、原則40年以上の継続的な原発の運営・運転というのは、非常に危険を伴うということを我々国民は改めて認識すべきだと思います。

 中性子を40年浴び続けた原発、原子炉、圧力容器は、危険度が著しく高まります。40年を過ぎた原発は自動的に運転を一たん見合わせるという方針で行くとします。新たに原発を新設しなければ、日本における原発が提供する発電能力・容量は、どんどんどんどん下がっていきます。それがこの水色の線です。この赤い線は、今回既に福島で事故が起きています。ですから原発による発電容量というのは一気に下がっております。福島(の原発)をもう一回再運転するということは(ないでしょう)。東電の会長・社長ですら、まああれは廃炉にならんとしょうがないでしょうねというふうに既に発言しておられますので、あれはもう廃炉だということでいきますと、いち早く原発依存度は減るということになるわけでございます。ここから新たに国民のコンセンサスが、もう一回さらに原発を新設ばんばんし続けるべきだというなら話は別です。きょう今すぐすべての原発をとめろというのは、国内の現実的な電力を賄う、現在の社会生活を賄うという意味で、いろんな議論があるかもしれません。仮に百歩譲って、今走っている、安全だと思われる原発、最低限40年未満のものは続けるとしてこうなるわけですけれども、そうやって原発に依存した電力が減っていくならば、かわりに何で電気を賄うのかを当然考えないと、建設的な議論にならないというふうに私は思います。それで建設的な代替手段は何かということを真剣に考えたわけでございます。

 ちなみに私は、つい1カ月前までは、原発はCO2を削減する意味で、世界じゅうで、もう原発が今後の基本的王道で、どんどん原発はつくられてるんだろうと思い込んでおりました。それは私の勘違いであった、浅はかであったということをこの間において学びました。実は原発建設ラッシュのブームは、世界においては1980年代の半ばで終わっている。85年ぐらいが世界の原発建設ラッシュのピークで、それ以降は、世界では原発を新たにつくるというのはどんどんどんどんどんどん減って、もうほとんどつくられない状況になってるということです。でも私はついこの間まで、そんなイメージはどこにもなかった。これからの未来のエネルギーは原発だろうと、まるで洗脳されたかのごとく思い込んでおりました。でも世界の現実は違った。原発依存度はどんどん減る方向にある。少なくとも新設する原発はもうほとんどないという現実を、先ほどの4%の原発維持・原発推進論者の方にも一回認識していただきたい。

 その4%の原発維持・原発推進論者の方にもう一回僕が聞きたいのは、仮に原発と同等の経済的コストで、原発よりも安全な自然エネルギーのものがつくれるならば、それでもあなたは原発を推進しますかと。つまり4%の人は、もう絶対原発主義者だと。原発大賛成、死ぬほど大好きだと。プルトニウムを吸って生きていきたいと。そういう人はその4%の中でもほんのちょっとだと思うんです。原子力を浴びるたびにより健康になりますと一部の人は言っておられますけれども、そういう人にはいっぱいプレゼントしたいというぐらいです(笑)。そういう人は、ちょっと勘違いしておられるのかもしれませんが、その4%の方々ですら、私は、もし仮に原発と同等かそれよりも効率のよい発電方法があり、しかもクリーンで安全なものがあるならば、その原発推進論者・維持論者の方々にも、少し考えを変えてもらえるのではないかと思います。

 ちなみに、既につくった原発が、世界で提供している電力のトータルキャパシティーというのがこの赤い折れ線グラフです。で、この赤い折れ線グラフの原発発電容量をこのまま維持したい場合、これからどのくらい新規に原発をつくらなきゃいけないのかというのが、まず……。今も少しまだつくられています。原発大好きな人が、少しつくっています。この人たちのやつをこのまま仮につくったとしていくと、原発に依存した発電容量は減っていきます。もし減るのではなくて、今、原発によってつくられてる電力をそのまま維持したい場合、どのくらい新たにつくらなければならないか。つまり40年たち、寿命が来たら一回とめる。新たにつくるというと、このくらいつくらなきゃいけない。強烈にもう一度原発建設ラッシュを呼び起こさなきゃいけないということです。これほど大きな事故が起きた後、世界でそういったムーブメントが起こるのだろうかということです。これが今からの一番重要な議論になるということです。

 私は少なくとも原発のこれほど大きな事故が起きた以上、仮に今稼働している原発を運転し続けるとしても、最低限、安全基準だけは上げなきゃいけないと(思います)。時速120キロで走っていたとしたら、せめてこれを時速100キロ、時速80キロに、少し安全運転しなきゃいけない。車(の車検)でいうと、ブレーキがきかない、タイヤが少しひび割れているという状況であれば、安全度合いを高めなきゃいけないということ。安全基準をこういうふうにいろいろと、より厳密な安全基準を高めなきゃいけないと思います。

 安全基準を高めて、新規の原発はこれからあんまりつくらず、つくるにしても相当厳密な議論と審査をしなきゃいけないということでいくとして、じゃあかわりの電力は何が(あるか)、1キロワット当たりの発電コストはどのくらいでできるんだということで調べてみました。ここにごらんのように、これは2010年のエネルギー白書に出ていたグラフです。これによると、太陽光が49円、風力・水力……、で、原発が5~6円ということで、原発が一番安いというふうにグラフはかかれております。このエネルギー白書はだれがつくったんだということをもう一回チェックしなきゃいけないのではないかと思うぐらい不信感が出ております。なぜ不信感が出るか。最近は保安院だとか安全院に対して、小学生(の間)で笑い話がはやってるのは、ご存じですか。言っちゃいけないね、これ(笑)。冗談だと思って聞いてください。冗談ですよ。僕が言ってるんじゃない、小学生の間ではやってる。上から読んでも下から読んでも保安院全員あほ。小学生にばかにされるぐらい、日本の安全保安院の審査基準、検査のはかり方が、日本だけが独自のはかり方をしている。IAEAのはかり方と全然違うじゃないかと。小学生ですら不安を抱いてるというような状況であります。今のは冗談ですから忘れてくださいね。もう、Ustreamとかニコ動で流れておりますが(笑)。

 ともあれ、私も信じ込んでおりました。でもこれは本当かねと。なぜ疑っているかということであります。原子力白書に、エネルギー白書に原子力のコストは5~6円と出てるわけです。私も含めて世の中の多くの人々が、原発は一番安い、だから少し怖いけど仕方ないと思ってたわけですが、現実は追加コストがあるんじゃないかと。なぜかというと、電力会社がみずから設置許可申請書に記載して申請した書類による、原発の発電原価、実数です。5~6円というのは1980年の最初のころにはあったかもしれない。でもその直後からもう既に10何円、20円、15円20円がずっと続いてるわけです。これ、実数ですよ。私が計算したんじゃないんです。電力会社の皆さんが、正式な原発の申請書類に出した数字です。ですから、一体全体先ほどの白書の1キロワット当たりの原発の発電コストが5~6円という数字はどういう根拠でだれが計算したんだと。そういうことを疑いたくなるような、きょう今日だと。現にこういうふうに出ているわけです。実際は、先ほどの5~6円のほかに、本当は追加コストが隠されてるんじゃないかということです。ですからそれを入れると、15円前後じゃないのかと。このドットを見て、ぜひもう一度検証いただきたい。これは国民の知る権利の範囲、政府の説明義務がある範囲だと私は思います。

 そして、太陽光のコストはどんどん下がってきている。火力は今から資源高でどんどんエネルギーコストが上がっていく。これは石油とか石炭です。原材料費がどんどん上がってきています。そして、事故の追加コスト。フランスでは正式に、もしこの事故の保険を正確に、正式に、その事故保険を入れると、発生確率を掛け合わせても、現在のコストに3倍掛けないと保険に入れないと。そういう事故保険の試算も正式になされてるということです。ですから、先ほどの点々々の部分のコストを正式に入れると10数円プラス事故後のコスト。今回、膨大なコストが発生します。それはたまたま今回事故が起きたからコストが発生するのではなく、ああいうことを含めて今後発生確率を掛け合わせた保険に入ろうとすると、原発コストはさらに3倍にはね上がるということを正式にフランスのほうで、コメントが始まってるということであります。

 どちらにしろ、もはや原発はもしかしたら、ほかの代替手段に対して一番高い原価になってしまったかもしれない。ちなみに水力は、もしかしたら国が補てん金を出して八ッ場ダムだ何だとつくってるわけですから、ダムの建設総コストは、発電コストに全額は入っていないのではないか。もしかしたらです。ですから本当はこの水力も、特に日本の場合は、実はかなり高いお金についてる可能性がある。そうすると、原子力が一番高くなって、火力もこれからは高くなる。で、水力も本当のトータルコストは、ダム建設コストをフルに電力に換算すると、実は高いかもしれない。そうするとそれ以外の新しい自然エネルギーに対して、もう一度我々は目を向けなきゃいけないのではないか。ちなみに原発の追加コストに、核の廃棄物の厳密な将来の処理コストはフルには入っていないのではないかと私は強く懸念をしております。事故コスト、さらに地域対策費ということで、これも正式に先ほどの5~6円という数字には入っていないのではないかということです。ですから実は原発は非常に高いということを私は申し上げたいということでございます。

 ちなみに、先ほどのコストは、30年前40年前につくられた当時の人件費・物価でつくられたものを、きょうの価格に換算して出されております。電力が賄えないとして、きょう今から新たに原発をつくるとすると、何年もかかるわけですけれども、一体幾らかかるのか。最近のフィンランドの事例で言いますと、今建設中の原発ですが、最初の見積もりは3500億円だった。途中からどんどんどんどん、いや実はこの値段ではできませんとなり、現実は1兆5000億円まではね上がってる。それでもまだ完成しない。ですから新たな原発というのは、実は安全、対策コストというのが、非常に値上がりしていて、非常に難しくなって、実は非常に建設コストも高くついている。ですから建設コストを割り算しただけで、燃料費や廃棄物処理コストを入れる手前で既に1キロワット当たり14円。これに燃料費・廃棄物・その他コストを入れると、もう既に新たに原発をつくるというのはものすごく割高になっているということを、改めて再認識するべきだということであります。

 これが、私が全く予想だにしなかったグラフであります。この点々の数がアメリカの実数です。黄色の点々が原発による1キロワット当たりの発電コストです。どんどん発電コストが上がっております。新たに新設していくものです。そして自然のエネルギーの代表の一つであります太陽光はどんどんどんどんコストが下がっている。去年、クロスオーバーしてる。2010年。こういう話を私はおとといから始めていますが、おとといの私のそのスピーチの前に、太陽光発電のコストが原発コストよりも実質安くなってきている、アメリカでは少なくともそうなっていると認識していた方はこの中におられますか。手を挙げてみてください。
 1人ぐらいですね。認識してなかった方は。原発のほうが安いだろうと思ってた方、手を挙げて。
 もう90何%の人がそうですね。97~98%の人は認識してなかった。原発のほうが安いと思い込んでいた。これを平たい言葉で言うと、プロパガンダ。ある種の洗脳に近いということですね。怖いですよ。ですから言論の統制だとか、いろんなことをされると、真実と違うことを思い込まされる。たまたま勉強不足だった、それはしょうがない。でも、逆のことを言い続ける人が構造的にいることに、大いなる問題があるということです。ですから、去年、このコストはクロスオーバーしている、原発は高くなる一方だということを改めて再認識するべき。高くて危険なものをだれが欲しいですか。

〔「電力会社」と呼ぶ者あり〕

○孫 電力会社?

〔「それと記者クラブメディア」と呼ぶ者あり〕

○孫 あははは(笑)。それとメーカーですね。メーカーもです。ですから、原発を高くても危険でも売り続けたいと思っている人がいても構造的にとめられず、納入し続けることができる。建設し続けることができる。40年たってもさらに期間延長の書類をしゃあしゃあと通せるという構造にある。国民はほとんど知らないまま、国民的議論がなされないまま、過ぎ去っていくことに危険構造があるということです。

 1カ月前まではしょうがないです。我々もあんまり認識してなかった。でも事故が起きて、知ってしまってなおかつ行動しないということは、我々の子供たちに対して、孫(まご)たちに対して、後々の人々に対して私は罪だと、心底思うんです。知って行動せざるは罪である。無知であったというのはしょうがない。でもこれだけの事故があって、字も読めて、目も見えて、テレビも見られて、人の話も聞けて、なおかついつまでも無知のままでいるというのも問題だと私は心底思うんです。それほど重大な、今すべての国民の関心事として、このことは避けて通れないほどの大テーマだと私は思うんです。

 私もこの1カ月間、悩んでいるんですよ。そんなことをする暇があったら電波を早くつなげと言われているんです。ツイッターで毎日のように書かれているんです。もう小さなハートが痛んでるんです、私。本当にもう、ただでさえいろいろあるんですよ。本当に心を痛めてる。でも、これはもう国民的重大な(事柄で)、しかも我々が負っている責任だと。小学校で、年間20ミリで許せって言ったって許せるかこのやろう。

〔「許せない」と呼ぶ者あり〕

○孫 もう、心底(許せないと)思いますよね。大人が20ミリ(シーベルト)ですよ。何で子供に対する配慮がゼロなんだと。大概にせえ、このやろうと。わしに一回、国会でしゃべらせろと。(拍手)
 もう心底、おれは思うんですよね。要するにそういう意味で、この1ページは、去年クロスオーバーしたんだとぜひ皆さんに覚えていただきたい。そこで、エネルギー政策の転換の年、2011年の3・11、これはエネルギー政策の転換の年、転換の日であると、我々の歴史に刻むべき日だと、国民的議論をすべきテーマであり日だと、心底私は思うんです。そういう意味で、国民全員が安心して何万年でも住んでいける国土を取り戻そうよと(言いたい)。

 私は文句を言うだけじゃいかんと思いまして、自然エネルギー財団というものをつくる決意をいたしました。とりあえず私個人の全額寄附でスタートします。ことし設立します。まず、とりあえず10億円を、寄附いたします。もう既に震災の被災者の皆さんに私個人で100億円と、今後、ソフトバンクのグループ役員をしている間のすべての報酬は被災者の皆さんに寄附をすることはもう既に公表して、約束しておりますが、完全にその外数で、新たに最低10億円を、まずこの自然エネルギー財団に寄附をして、これを2~3カ月のうちに設立するということを決意しました。その金額だけでは足りないのは十分承知しております。この財団はまず、その金額をスタートの原資として、世界の100人を超えるトップの科学者(サイエンティスト)たちの研究をいろいろと募って、学んで、広めて、そして日本政府に対して政策提案をする。あるいはほかの国々の政府に対して、原発問題はCO2同様に、地球全体にかかわることなので、世界じゅうの科学者と意見交換をし、発表する場を設けて、そういう政策提言を行っていきたい。そういうためのある種のシンクタンクのようなものが、この財団です。もちろんこの財団ができるだけでは、本当の自然エネルギーの普及というわけにはいきませんので、これがまず最初のきっかけになればという意味で、議論のきっかけという意味で、この財団をつくることを決意し、コミットいたします。

 これを使って、どれが一番いいとか悪いとかいう結論は私の中にはまだありません。素人ですからこれから一生懸命学んでいきます。皆さんの力もぜひおかりしたいと思います。さまざまな自然エネルギーの手法が全世界で今、研究開発されておりますので、それを援助したい。その幾つかの例をちょっと語ります。太陽光発電。ご存じのように、電気というのは一日中同じように使われてるわけではなくて、ピークで使ってるときと、夜寝ている間など、使っていないときがある。電気はある程度ためることはできますけども、それなりの蓄電コストがかかります。電気においての一番高いコストの部分は、実は昼間。発電力が、電力の消費量が一番大きいのは昼間の時間。昼間って実は太陽が出てるじゃないかと。太陽が出てるときに実は電気を一番使ってるのですが、この電気を一番使ってるピークのところの発電コストも一番高いんですね。一番高いところのピークを、太陽が出てるのだから太陽で賄ったらどうか。もちろん、太陽が出ていないときは、水力、あるいは化石燃料の火力発電、そういうものをバッファとして使う。つまり夜中だとか曇りだとか雨(のとき)です。

 ひとつ日本にも、メガソーラーの実験の場所が山梨にありますけども、2メガワット。そこのいろんな、結果を見ますと、あれ? これ、晴れのときのこういうグラフがあるんですけど、なぜか消えております(笑)。

〔「頭のいい人しか見えない」と呼ぶ者あり〕

○孫 頭のいい人。心の目で見ていただくといい。ここに実は昼間の時間はこういうふうに、もちろん太陽が出てるときは、発電をしております。曇りのときは、それがこういうふうに減ります。雨になると、ほとんど日が照ってないので太陽発電できない。太陽発電に対して反対する人はほとんどこのことを理由に言います。原発は一日中使えるぞ、太陽っていったって、そんなものは雨が降れば使えない、夜は使えないじゃないか、そんなものに頼れるかという話がよく出てまいります。しかし、この曇りであれ雨であれということですけども、先ほどのピークのところありました、これです。石油を一日中使うのではなくて、足りないときは石油・石炭を使います。つまり、石油とか石炭はためておけるわけです。必要なときに火力を起こす。ですから曇ったときに石油・石炭を使えばいいじゃないかと。曇ってるとき、あるいは夜中に水力発電等、ためてたやつを使えばいいじゃないかということで、そういう需給バランスの調整には、十分それでやれるじゃないかということです。

 太陽は実はこういうふうに、太平洋側、南向き側には、かなり日本じゅうに使えるところがあります。太陽の研究開発、ソーラーパネルの研究開発において、実は世界のトップ5のうちの4社は日本メーカーでした。これがほんの5~6年前。世界のトップ5のうちの4社が何と日本メーカーだった。しかし現在、日本メーカーはシャープが3位で京セラ7位、あとは番外です。せっかくもともと日本は太陽エネルギーの先進国だったのに、落ちぶれてしまったということです。一方、日本がもともとメッカであったその技術を使って、ほかの国はどんどん太陽光発電が伸びています。これはドイツの事例ですね。ものすごい勢いで伸びています。

 なぜ伸びたかということですけども、ここにありますように、これがかぎです。太陽で発電したら電力会社が買い取ります。余ったときだけじゃなくて、太陽で発電した電力は全量買取義務が電力会社側にある。つまり、原子力に頼るのではなくて自然エネルギーのほうに移行させようという政府の基本的思想・ポリシーがあったからこういうふうに誘導していった。ことごとく、ですね。20年とか25年、これはおととし、2009年のデータです。1キロワット当たり40円から60円で買います、20年間買い続けます、25年間買い続けます。こういう政府の促進策が、ポリシーとして出された。したがって、電力会社以外の各企業が競い合って、どんどん発電に回ったと。だから国じゅうに太陽光発電が広まっていった。ヨーロッパの平均でも58円だということです。

 日本の政府でも、今これが議論されておりまして、最近閣議決定されたところまで進捗してると聞いております。住宅用が42円、メガソーラーで40円、それを10年とか20年という議論がされております。ただしこれが全量買取になるのか、本当に20年になるのか、40円でいけるのかということについてまだ確証がありません。これが閣議に通ったのが、何とことしの3月11日の午前中です。歴史的偶然ですね。あの地震・津波、大きな事故がある直前の、同じ日の午前に、日本の閣議でこの方向性が通っている。歴史って不思議ですね。小説だと、でき過ぎだということになりますが、せっかく閣議で通っているのであれば、これを一日も早く国会で正式に通してほしい。国会でいろんな議論をされなければいけないのだろうと思います。でも、このことが、国会のほかのどの法案よりも真っ先に決めなきゃいけない最優先事項であるということは、私は間違いないと思います。ぜひそういう意味で、国民に関心を持っていただきたい。ヨーロッパが40円どころか40円から60円と。20年どころか、20年から25年。しかも最初のころは、これが60円とかもっと大きな金額です。ここ、61円固定価格買取制度、65円にふやした。65円にふやしたぐらいからぐあっと伸び出したということです。

 60円とは言いません。もう少し技術革新が起きてコストダウンして、せめて40円、20年。住宅の屋根に42円、これがないと住宅の屋根で採算が合わない。したがってつくらない。今までは電力会社は、こういうものをつくられても、買いたくないという本音がありありでした。したがって(他者が)発電しても送電を受ける、迎え入れるという心構えが少し欠けていたのではないかと思います。今は、停電するぐらい電気が足りないと言っているのだから、まさか発電した電気を受けたくないなんていうことはないですよね。電力会社の人にはちゃんと発電したものは受けてくださいということを義務づけすべきだということです。

○司会 孫さん。

○孫 はい。あ、時間?

○司会 これは、33ページってありますけど、全部で何ページまであるんでしょうか。

○孫 すいません、ここからは巻きで行きます。

○女性 ただいま8時51分です。よろしくお願いいたします。

○司会 会見場の皆様にお知らせしておきますと、9時30分ぐらいまではお時間いただけるので、質疑の時間をとらせていただきます。

○孫 はい。じゃあ、おわびで10分延ばします。

○司会・女性 ありがとうございます。

○孫 はい。そして、東日本ソーラーベルト構想。この東日本が大分震災でやられて、塩害で10年間、畑に(作物を)植えられないということですから、震災に遭ったところにどかっと世界最大のソーラー発電、ついでにそこに、風の発電も、あるいはその他の発電も入れたらどうかということです。これが雇用を促進する。被災者は雇用がなくて困っている。膨大な雇用の機会を提供し、そして明るい日本の未来を、安心・安全な未来を提供できる。こういうことをやってはどうか。振興プロジェクト・復興プロジェクトとして、やったらどうかと思います。ちなみに、今、日本で幾つかありますけれども、今世界最大がカナダの97メガワット。その他いろいろあります。風力発電もあります。風力発電はもっと伸びてます。日本はたった2ギガワットですが、中国が26ギガワット、世界では160ギガワットということで、急激に伸びています。日本はほとんどほったらかしに近い状態ですが、これもやっていただきたい。デンマークのこういう、海を使った風力発電の例も出てきます。海や陸地で潜在的に風力発電できるところというのは、日本の電力全部を賄えるぐらいあり、実は風力発電の潜在的能力もあるということです。

 それをやるためには今まで問題だったのは送電線。これを電力会社が心から受け入れてほしいということです。風力発電については、買いたくないという意図ありありの値段で今まで買っていた。採算が合わないぎりぎりのところで、生かさず殺さず採算合わない、しかも電力をつくってもあんまり受けないという嫌々路線で来てるから日本は風力が全然伸びていない。これ、だれがつくるのということです。今回の事故をベースに、世界のトレンドに日本も政策転換すべきです。太陽熱発電というものもあります。1.3ギガワット。原発が1カ所で、1基で1ギガワットの発電容量がありますので、これはこのタワーに、ばあっとこの太陽の光を集めて、そしてそこで、熱を発生させて発電する。この1カ所で、1.3ギガワット。原発(1基)に相当する部分をつくってるという事例ですが、今建設中です。ほかにもトラフ型とか、これはスペインです、ディッシュ型とか、いろんなものがあります。ですから私は、自然エネルギー財団で、こういう世界の事例を徹底的に調べて、日本の風土に何が一番合うのかと、どれが一番コストパフォーマンスがいいのか、危険性が少ないのかということの事例をどんどん紹介し、日本の制度改革についての提言も行っていきたい。

 地熱発電。地熱も日本はトップクラスの技術を持っている。東北に豊富な地熱発電の資源が眠っています。既に18カ所で地熱発電が、現在、現実に行われていて、地熱発電は世界じゅうで急激に伸びている。そして、日本製の地熱発電の機械が世界の75%を占めてる。日本の技術は世界一だと。にもかかわらず、日本では地熱発電が少ない。なぜか。嫌々で受け入れないような体制をつくってたからです。地熱発電は伸びていたのですが、ここ何年間、10年間、とまりっ放しです。なぜか。先ほどの風力と一緒でもう買いたくない、促進させたくないという意図がありありだからです。ですからまだまだ、あと98%開発力がある。主な課題と。こういうのがあります。調査・開発・稼働までのリードタイム。これは手続が何か役所がまたいろいろうるさいことを言っておるようです。そういうものもこの際、改めてもらわなければいけないということです。

 地熱発電の潜在的場所は国立・国定公園内にある。つまり国が持っている。国が意思決定さえすれば、国難を救える。何のために政府があるんだと。こういう一番困ってる、国難のときにこそ、国立・国定公園内で地熱発電ができて山登りに(人が)来てないようなところは、国民を救うために使ったらどうだということです。

 今まで日本は原子力に30%頼ってました。最近は25%ぐらいまで減ってきてると思いますが、この割合を、自然エネルギーの部分を一気にふやそうということです。これからは火力も高くなっていきます。自然エネルギーの構成比率を、10年後は、ヨーロッパは25から30%にしようとしています。日本はまだ9%です。エネルギー自給率も日本は低い。自然エネルギーであれば、自給できる。そういう意味でも防衛できるのではないか。これから将来、10年20年たつと、石炭・石油はコストが上がる一方。原発もコストが上がる一方。一方で、自然エネルギーは量産効果がきいて、テクノロジーが進化して、コストが下がる一方。先ほどありましたアメリカの事例の、このエックス軸で、去年クロスオーバーした。まさにこれからますますそうなる。だからどっちに国の政策を持っていくべきか。論じるまでもない。

 一回だけ、国民は覚悟をしなければいけない。今、日本の各家庭の1軒当たりの平均電力コストが、1カ月8000円です。自然エネルギーを促進しようと思えばこれが8500円ぐらいまで一時的に上がる。先ほどの20年40年、全量買取義務というものを政策で決めると、一時的にちょっとだけ上がります。でもその後、量産効果がきいて安くなります。一方その政策をとらないで石油・石炭・原発に頼ったままで行くと、間違いなく今から上がる一方になります。上がった後では手おくれだということです。ですから今のうちに、早くこの政策転換をしましょうと。つまり、一回だけ、一時的に500円、平均各家庭の電気代が上がるということに国民が腹をくくりましょうと。これをやらないと、事故が起きるとどっちみち税金で取られるんです。今、事故が起きたから増税しようという話がまさに議論されてます。東電が払い切れないコストは国が払う。国が払う金は政治家が持っていんじゃないのです。政治家が払ってくれるんじゃないのです。国民が税金で払うわけです。国に補償せよ(ということは)、つまり我々国民が払わなきゃいけないと(いうこと)。だから結局高くなるんです。だったら、自然エネルギーを受け入れるということで一回だけ500円ぐらい上がるという覚悟をしようと。将来的には、結果的に、それはむしろコストダウンにつながる。安心・安全が一時的500円のコストアップで買えて、将来は明るい未来のビジョンがある。日本が復興できる。子供たち、孫(まご)に責任とれる国家がつくれる。

 かぎはこれです。先ほども申し上げたとおりです。そろそろ終わります。40円20年。メガソーラーの場合で40円、住宅の屋根の場合で42円。40円20年全量買取。電力会社がこれを拒否しないで、積極的に電気を受け入れるということをやりさえすれば、この一行の法案で、日本の電力の解決策が見える。これが私のメッセージでございます。2011年、エネルギー政策転換の年。単なる批判に終わらない、建設的な議論をしましょうということでございます。ありがとうございました。(拍手)

※作成:ITテキストサービス

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