ウェブ制作者から見たIE6(インターネットエクスプローラー)と他のブラウザの違い
2010年3月4日、アメリカコロラド州でIE6の葬儀イベントが行われた。米国のAten Design GroupというWebデザイン企業が主催し、100人以上の人が参加したという。
IE6とはウェブページを閲覧するためのソフトの一つである。旧ウィンドウズパソコンにあらかじめセットアップされていたため、初心者にはインターネットでウェブページを閲覧する=IE6を利用する(例のアイコンをクリックする)という認識が成り立ってしまっている。
それの何がいけないのか。という理由を以下のページで挙げている。
「IE6を永眠させるべき10の理由」ITmedia News
- とても醜い
- パワーがない
- 大きなセキュリティホール
- 評判の問題
- 互換性がない
- Googleに捨てられた
- 世界の嫌われ者
- Microsoftさえ忘れたがっている
- ユーザーのIE離れの原因に
- IE6はもう時代遅れ
ウェブ制作者がIEを嫌う理由
詳細は上記引用リンク先及びリンク先にある原文ページリンク先をごらんいただくとして、なぜ一Webデザイン企業がこのようなイベントを開催したのか。同じウェブページを作成する極東の末端企業として、IE6に限らず後継のIE7~も同様だが、この「葬儀」に大きく同意できるのは、上の10の理由より、「ウェブページのソースコードの解釈が他のブラウザと大きく違い、最新の規格に追いついていこうとしていない」という点である。
細かい部分を挙例しないが、大ざっぱに言うと、ウェブページを作成する際、IEとそれ以外のFireFoxやGoogle Chromeなどモダンブラウザを想定した2つのコーディングをしなくてはならないという点が制作者泣かせなのである。また、同じIEでもIE6とIE7では表示結果が異なるため、[最新ブラウザ][IE6][IE7.8]という3つのブラウザの想定とチェックが必要になる。要するにこの世から本当にIEさえ「死んでしまえば」、ウェブ制作のコストは格段に下がるのである。ウェブ制作者はその死に対して、ある種の感慨を覚えながらも、心からの祝杯を上げるであろう。
昨今のブラウザ競合のため、数年前と比べればIEのシェアは下がってきてはいるが、まだまだ制作側としては無視はできない数字がある。下図はこのブログサイトの直近のブラウザシェアである。
ブラウザ別シェア

(閲覧シェアはインターネットエクスプローラーが過半数)
インターネットエクスプローラー内のシェア

(IEの内、いまだにIE6が4分の1のシェア。。。)
IEに限らず、シェアがあるうちは制作時に視野に入れざるを得ない。一利用者としてなら時代おくれであろうと醜かろうと、IEがよければ利用すればいい。個人の自由である。また、時代おくれが嫌で、美しいブラウザがよければIEを利用しなければいいのだが、恐るべきはIEでないと機能しないウェブサイトが存在するということで、これがあるため、完全にIEを使わないというわけにはいかない。
「ブラウザ=IE」の弊害
ウェブサイト制作を依頼する、ブラウザのことをよく知らない発注企業は、自社でウェブサイトを閲覧するブラウザがIEしかなく、ウェブサイトを閲覧するとはそうすることだという認識の場合がある。すると、悪意のある制作者はその会社のバージョンのIEでのみきちんと閲覧できるように制作し、他のブラウザでどのように見えるかを全くチェックせずに納品するかもしれない。IEのみで機能する便利な機能があるので、それをコードに組み込み、他のブラウザでは起こり得ないまやかしの表現を実現させてしまったりすることもあるであろう。
ウェブサイトをつくりませんかと提案すると、「私はパソコンを見られないから」と言って断る企業・商店主がいる。自社のウェブサイトは自分が見るためのものではないのだが、要はこの感覚のため、IEしかブラウザがない(と思いこんでいる)企業・商店の人たちが、不誠実なウェブサイトを購入するはめになるのである。そしてIEが永遠になくならない温床でもある。
XPとIE7の相性が悪い(ゆえに一度入れたIE7をIE6に戻し、以後IE8を試してもいない)、まだ企業などで多く現役であろうウィンドウズ2000でIE6を使わざるを得ないなどの問題もあると思われる。IEにこだわらず、他のモダンブラウザをインストールすればいいのだが、そこまでするほど日常的に頻繁に問題が発生するわけでもないというのがまたIEを延命させている理由の一つでもある。
大人の世界の真意はよくわからない部分があり、風が吹けば桶屋がもうかる方式を意図的に行うために、マイクロソフトは執拗にしょっぱいブラウザを開発し続けているのではないかというげすの勘ぐりも働いてしまう。ブラウザに脆弱性が多いほど、セキュリティーソフトが売れるはずだからだ。独禁法その他、大企業が考慮すべき点はきっと我々には想像もつかないほど多種多様なのであろう。
ブラウザは複数インストールし、使い分ける
ほんの15年前には画期的な先端企業だったマイクロソフトの製品が今や老害のように言われてしまうこの世界のサイクルの速さに愕然としつつ、最後に私が使っているブラウザについて、簡単に記しておくのでよければ参考にしてください。ブラウザはパソコンに何種類でもインストールできます。ただし、IEならIE、バージョン違いをインストールすることはできません。
- IE7
- 既定のブラウザ。これだけIE非難しておいて、既定です。理由は2つなのですが、制作チェックの都合上、最もシェアの大きいブラウザを最も利用するため。もう一つはこれも制作の癖で、ソースの編集がしやすいため、です。通常のウェブブラウジング時にはまず利用しません。他のサイトでのシェアが大きかったのでこれを既定にしていましたが、今回の確認でIE8のシェアが上回っていることが判明したので、アップグレードしようと思います。
- FireFox3
- セキュリティー警告を出してくれます。怪しそうなサイトを見るときはこのブラウザ。便利なプラグインも豊富にあるようですが、これも制作チェックの都合上、最も多いであろうデフォルトの状態にしてあります。
- Google Chrome
- 動作が軽い、レンダリング速度が速いです。非常にシンプル。ただ、若干不安定で、ページにアクセスができなくなる瞬間があるような気がします。通常のブラウジングにはこれを利用しています。
- Opera・Safari
- 上記2つのブラウザと遜色ないです。ただ、シェアが頭打ちっぽいので、ほとんど利用していません。これもソースコードの解釈が若干違うので、本当はチェックすべきではあるのですが、ともにモダンブラウザなので、FireFox・Google Chromeをチェックすればまず問題ないです。
上の4つはすべてタブブラウザです。IE7は複数のタブを開いた状態で閉じようとすると、毎回次回起動時どうするかを聞いてきます。その他のブラウザは再起動すると前回の状態を勝手に復元してくれます(自分でそう設定したのかも。ちょっと忘れました)。「お気に入り」に入れなくても記憶してくれるので、毎日のように見る(ログインする)サイトをまとめて1つのブラウザにタブで開いておき、そのブラウザはそのためだけに利用する、などもしています。
一生の伴侶というわけでもないので「ブラウザは1つと決め、添い遂げる!」と思わず、全部のブラウザをインストールし、それぞれ使い分けていくのがベターかと。
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